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ふふふなコラム

テキスタイルデザイナー梶原加奈子さんに聞く、“布”の魅力

掲載号 vol.11

Vol.5

記事内容

  • テキスタイルデザイナー・梶原加奈子さん

読了時間:5分

テキスタイルデザイナー・梶原加奈子さん

海外で認められる日本の伝統技術を国内でも広めたい。

洋服やカバン、インテリアなど、さまざまな用途で私たちの生活を支える布。その布をデザインするテキスタイルデザイナーの梶原加奈子さんは、全国各地を訪れ、職人さんたちと対話を重ねながら新たな布を生み出しています。梶原さんが作る、“人の心を動かす布”の魅力に迫りました。

梶原さんがデザインする布には、思わず触れたくなるような魅力があります。どんなことを意識しながらデザインするのですか。
「柔らかい布に触れると癒されたり、明るい色の布を身にまとうと華やかな気持ちになったり。布は、心を豊かにする素材だと思います。デザインするときはいつも、心の肌に刺激を与えられるような布を、と考えています」

心の肌とはどんなイメージですか?
「体と同じように心にも肌があって、布が触れると感情が揺れ動くように思うんです。布に触ったとき、手や体の感触だけでなく、心の肌でも心地よさを感じてもらえたら嬉しいですね」

さまざまな取り組みの中で、積極的に日本の伝統技術を取り入れていらっしゃいますね。
「織りや染めなど、日本の布作りの技術は、海外、特にヨーロッパでの評価がとても高いんです。ただ、素晴らしい技術があるのに、国内ではそれがあまり知られていないことが残念で……。伝統技術というのは、限られた方々にしかその価値が伝わらないことが多いのですが、そこに現代的なデザインを取り入れることで、より多くの人たちに身近に感じてもらえたらと思っています。伝統技術を未来につなげるためにも、職人さんたちとともに歩んでいくことが大切だと感じています」

面と向かって伝えることで育つ信頼関係。

新たな製品を作るときには、職人さんとの対話を大切にされているとか。
「布をデザインする上で、作り手と使い手の幸せな関係を築いていきたいと考えています。作り手である職人さんの技術や作業環境をより深く知るためにも、面と向かってお話しする時間はかけがえのないひとときです。また、現場の空気を肌で感じ、商品を買ってくださる使い手の方々に、そこに込められた思いを伝えるのも私の役目。そのため、お客さまとの対話も大切にしています。どんな人たちが、どんな思いで作ったものかをお話しすると、『職人さんたちを応援したい』と言っていただくこともあるんですよ。気持ちがつながっていくことが嬉しくて、その声を届けに、また職人さんたちに会いに行くんです」

梶原さんは、職人さんとお客さまをつなぐ役割を担っているのですね。そこに、どんな喜びを感じていますか。
「人と人をつなぐことで、周りの人が笑顔になることが喜びであり、やりがいです。伝統技術や職人さんたちの思いを、デザインの力で未来につなぐことができたらいいなと思っています」

取材を終えて

“つなぐ”という役割に大きな意味を見出していらっしゃる梶原さん。お客さまと商品をつなぐ私にとって、胸を打たれるお話ばかりでした。私自身、お客さまのお肌だけでなく、心の肌も癒せるようなカウンセリングを目指したいと思います。
内西美紗


梶原加奈子さん

かじはらかなこ●1973年・北海道生まれ。多摩美術大学卒業。2001年に渡英し、ロンドンの大学院で学ぶ。ヨーロッパでの制作活動を経て、06年に帰国。08年に自身のデザイン事務所を設立

(右)『グリデカナ』の製品。友禅染を施した、革製の財布やポシェット、名刺入れ。 日本でも、ひとりの職人しか作れない凹凸のある手触りが特徴
(左)自然光が注ぎ込む梶原さんのデザインスタジオで。仕事で全国を飛び回っていますが、住まいは故郷の北海道。自然がアイデアの源だとか

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