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ふふふなコラム

銀座「空也」空いろ、老舗和菓子店の五代目が語る餡の魅力

掲載号 vol.10

Vol.4

記事内容

  • 和菓子店『空也』五代目・山口彦之さん

読了時間:5分

和菓子店『空也』五代目・山口彦之さん

豆のすべてを使う「○(まる)あん」との出合いが『空いろ』のはじまり。

「和菓子を、もっと身近な存在にしたい」。そんな思いから、現代的なセンスが光るおしゃれな和菓子店『空いろ』をオープンさせた山口彦之さん。五代目を務める銀座の老舗和菓子店『空也』の伝統を守りながら、山口さんが追求する餡(あん)の魅力と可能性を探りました。

『空也』のもなかはとても人気ですね。あの餡には、何か特別なものが使われているんですか?
「シンプルに、豆と砂糖と水あめだけで作っているんですよ。だから素材そのものの味を楽しんでいただけると思います。甘味料や保存料は使っていませんから、日持ちはしません。その日作ったものを、その日のうちに召し上がっていただきたいんです。2011年にオープンした『空いろ』の餡も、同じ考え方で作っているんですよ」

『空いろ』は駅の中にあって便利ですね。おみやげを買う時など、私もよく利用します。山口さんが『空いろ』を始めるきっかけは何だったのですか?
「和菓子は日本の伝統的な食べ物ですが、最近楽しむ人が減っているように思います。それがとても残念で、日常的に楽しんでもらえるようにしたいと、ずっと考えていたんです。そんなある時、豆の皮までなめらかにすりつぶせる餡を作れることを知ったんです。栄養分を多く含んだ皮を捨てず、丸ごと使えることに魅力を感じました。その出合いから『空いろ』が生まれました。うちで「○(まる)あん」と名付けたその餡は、豆 の風味をより感じられると思います」

伝統を守りつつ革新的な発想で和菓子を世界へ。

クッキーで「○(まる)あん」をサンドした「つき」や、餡の瓶詰め「ほし」など『空いろ』の和菓子は、洋菓子に感じるようなかわいらしさがあります。
「餡は、“豆のジャム”だと思っているんです。『ほし』は、洋菓子店に並ぶコンフィチュールのようでしょう? 餡は、ただの材料ではなく、十分主役になれるもの。そんな餡を生かせるものをいろいろ試作して、オリジナル商品として用意させていただきました」

フルーツを使った餡などもありますよね。山口さんは「餡を世界に広めたい」という夢をお持ちだそうですね。
「日本の食文化を代表するものとして、海外の人にも和菓子を広めていきたいんです。寿司がカリフォルニアロールから広まったように、和菓子も海外の文化に合わせたものがいいのではないかと思っています。実は、どら焼きの『たいよう』という商品は、『ドラえもん』の人気が海外でも高いことから思い付いたんですよ。どら焼きはドラえもんの好物として有名ですから、世界に、餡と和菓子を広めるきっかけになると考 えたんです。そんな風に餡のおいしさと魅力を世界に伝えていきたい。そして、いつかミラノでエスプレッソと一緒に和菓子を食べてもらえるようになれば、嬉しいですね」

取材を終えて

いつも変わらないおいしい餡を届けるため、気温や湿度など、その時の条件に合わせて材料の配合・炊き方を変えるという山口さん。「豆は生き物なんです」と、さまざまな豆を大切に扱う姿が印象的でした。こだわりと情熱、そして遊び心のあるアイデア。山口さんにうかがったお話を、今後の『エピステーム』のもの作りに活かしていきたいです。和菓子が海外でも人気になる日を、今から楽しみにしています。
岡野亜矢子

山口 彦之さん

やまぐち ひこゆき●大学卒業後、3年間の会社勤めを経て、26歳で銀座の老舗和菓子店『空也』の五代目となる。2011年6月に新業態のショップ『空いろ』をオープン

「怖がっていたらいいものができない」と山口さん。高温で撹拌される餡の状態を、ヘラから伝わる弾力で確かめます
だいず、つぶあん、白いんげん、あずきの4 種の餡の瓶詰め「ほし」(各¥550)。スプーン型クッキー(8本入り¥400)で、餡をすくって食べても美味

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