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ふふふなコラム

マザーハウス 山口絵理子が語る、まずは一歩を踏み出す勇気

掲載号 vol.21

Vol.21

本質の美を求めて。
内面から輝く秘訣をうかがいます。

記事内容

  • マザーハウス代表 兼 チーフデザイナー 山口絵理子さん

読了時間:5分

マザーハウス代表 兼 チーフデザイナー 山口絵理子さん

行動することで新たな世界を切り拓く。

山口絵理子さん風に揺れる木々や、太陽の光を思わせるさまざまな色あい。使い込むほどに、その味わいを増す「マザーハウス」のバッグには、同社の代表であり、チーフデザイナーでもある山口絵理子さんの思いが込められています。
「実は、バッグを作りたいと思って、『マザーハウス』を立ち上げたわけではないんです。きっかけは、途上国への支援のあり方に疑問を感じたことなんですよ」

学生時代、国際援助に携わりたいと思う中で、途上国への支援は本当に届いているのか? と疑問を感じた山口さん。その現実を自身の目で確かめるために、当時のアジア最貧国であるバングラデシュに渡りました。そこで、この国の人たちに本当に必要なのは施しではなく、同じ目線で向き合うことだと実感し、途上国発のブランド「マザーハウス」を立ち上げることを決意しました。

「この場所から世界に通用する商品を発信できたら、途上国で暮らす人々の生活も、途上国の見方も変わると信じています」

現在、一年の大半は途上国で暮らし、現地の工場で職人たちとともにバッグ作りに勤しむ山口さん。
「職人たちとともに心を込めて作るバッグは、わたしにとって生命が宿るもの。だから、悩んだり迷ったりしたとき、持ち主の背中をやさしく押してくれる、友達のような存在になれたらいいなと思っているんです」

そんな思いが通じて、「何度も修理して大切に使っています」「このバッグのおかげで就職活動をがんばれました」といった声が、山口さんの元に届きます。その声を現地の職人に届けることで、彼らは自分の仕事に自信や誇りを感じ、よりよい循環が生まれるのだとか。

自分の心を見つめ、まずは行動してみる。

そんな山口さんですが、会社を立ち上げて3年ほど過ぎた頃、思い悩んだ時期があったそう。

「世間の評価で頭がいっぱいになり、ものづくりができなくなってしまったんです。どうしたらいいのか? 悩んでいたとき、ふと、足元に咲いている花に目が止まり、なんて美しいんだろうと感動しました。それをきっかけに、お客さまの声に耳を傾けるだけでなく、私自身の心の中の感動を素直に届けたいと、花びらのふくらみをバッグで表現することを思いつきました」

新たな挑戦でしたが、この経験から、誰かの意見や評価に思いをめぐらせるのではなく、自分自身の心の声に耳を傾けることが大切だと実感したそう。 「現状を変えたいと、心の中で強く思っていても、何も変わらない。どんなに小さくても、自分らしい一歩を踏み出すことが、現実を変えていく手段になるのだと思っています。失敗しても引き返せばいい……。そんな気持ちで、これからも常に前を向いて歩いていきたい」

そんなふうに語る山口さんの、小柄な身体から満ちあふれる輝き。その源は、まずは一歩を踏み出す勇気にあるようです。

私の輝きの源 ~自然をモチーフにした絵画~

小さい頃から絵画を心の支えにしていました。だから今でも、落ち込んだときには絵画を見に行きます。自然をモチーフにした、イヴ・クレールという画家の絵が好きで。思い立って、「あなたは自然を絵で表現しているけれど、私はバッグで表現しました」と、花びらを題材にしたバッグを持って彼のアトリエを訪ねたんです。最初はとても驚かれましたが、そのバッグを気に入ってくれて。それから交流が続いています。自然に魅力を感じるという部分で、共鳴するところがあるのでしょうね。

花をモチーフに描かれたイヴ・クレールの絵画
花をモチーフに描かれたイヴ・クレールの絵画

インストラクターとしてヨガレッスンをする、森 和世さん

山口絵理子さん

やまぐち えりこ●学生時代、途上国援助に矛盾を感じ、「途上国から世界に通用するバッグを作る」という理念のもと、24歳でマザーハウスを設立

(左)現地の素材を使用し、職人たちの手で心を込めて作られるバッグや小物
(右)本店の前で。手にしているのが、花から着想を得た“花びらシリーズ”のバッグ

『マザーハウス』

『マザーハウス』

日本と台湾で、計20店舗の直営店を構える。
http://www.mother-house.jp/