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ふふふなコラム

清香園五代目 山田香織さんが語る、盆栽のある暮らしの魅力

掲載号 vol.16

Vol.10

本質の美を求めて。
内面から輝く秘訣をうかがいます。

記事内容

  • 老舗盆栽園五代目・山田香織さん

読了時間:5分

老舗盆栽園五代目・山田香織さん

咲いてくれてありがとう。一輪の花にも感謝。

盆栽園『清香園』の庭で、さまざまな鉢の間を軽やかに歩き回る山田さん。その目は、まるで樹々に語りかけるような優しさに満ちています。
「盆栽は生き物。毎日水をあげて、1年後に一輪の花がようやく咲いただけでも、私のために咲いてくれた気がして。想いに応えてくれたことに、感謝の気持ちがこみ上げてくるんです」

山田さんが手にする鉢には、青々と草が茂り、小さな花のつぼみも。これまで見てきた盆栽とはひと味違い、可憐な美しさが感じられます。

老舗盆栽園の五代目である山田さんは、幼少期から園の庭で盆栽に囲まれ、豊かな感受性を育みました。しかし思春期を迎えた頃、その環境を窮屈に感じたそう。

「盆栽は、“華やかさのない古いもの”というイメージがあり、それが嫌だったんです。けれど、18歳の時に両親が連れて行ってくれたフランス旅行が、転機になりました。フランスでは、見るものすべてが新鮮で魅力的。そしてそのとき、私が背を向けてきた盆栽も、外国の方の目には、新鮮で魅力的に映るに違いないと感じました。身近にある“和の文化のすばらしさ”を再確認したんです。それが、盆栽の未来を考えるきっかけになりました」

女性ならではの感性が自分自身の希望の光。

それを機に、盆栽のすばらしさを多くの人に伝えたいと考えるようになったという山田さん。
「盆栽をはじめとする伝統的な和の文化が、私たちの目には“古いもの”として映ってしまうことが残念で。その魅力を伝えるために、新たな取り組みも必要だと感じました。力仕事も多く、経験を積んだ男性が活躍する盆栽界で、女性である私が五代目を継ぐのは特異なこと。“盆栽のある暮らし”の魅力を、ナビゲーター役として多くの人に伝えることができれば、私が女性であることを活かせるのではないかと考えたんです」

そして樹々や草花、苔や化粧砂を寄せ植えする「彩花盆栽」という新たな手法を提案しています。そしてここにも、山田さんの女性ならではの感性が活かされています。
「盆栽は、大自然の風景を一本の樹で表現する想像の楽しみ。その抽象的な風景作りをより具体化したのが『彩花盆栽』です。例えば、幼い頃に見た風景や、旅先で出合った美しい景色を、スケッチするように鉢の中に表現していく。枯山水の様式をとり入れながら、花や実を寄せ植えにすることで、日々植物の生長が感じられるのも楽しみのひとつです。これまでにないスタイルですが、受け継がれてきた“盆栽の基本”を大切にしています」

植物の息吹を身近に感じられる「彩花盆栽」は、華やかな作風で、これまで盆栽に触れる機会の少なかった女性や若い層にもその魅力を伝えています。
そんな山田さんを輝かせるのは伝統を未来につなぐことの喜び。その想いに応えるように、盆栽は今年も芽吹き、花を咲かせてくれるのです。


私の輝きの源 ~リフレッシュできる場所~

『清香園』から徒歩20分ほどの武蔵一宮氷川神社は、約2000年の歴史がある古社。巨木や古木が枝を広げる、大宮公園の一角に位置します。「日頃から、植物の生命力には圧倒されることがあります。ここは、そんな樹々のパワーが静かに流れる場所。人生には、当然辛いこともあるけれど、ここに来ると樹々から勇気をもらえるようで、また笑顔を取り戻せるんです」。

『武蔵一宮氷川神社』
http://musashiichinomiya-hikawa.or.jp/


2000年以上の歴史を持つ

山田 香織さん

やまだ かおり●老舗盆栽園『清香園』五代目。1978年埼玉県生まれ。99年に彩花盆栽教室・盆栽町本校を設立。女性や若い層にも盆栽の魅力を伝える活動に注力。6歳と1歳の男児の母

(左)「盆栽は年輪を重ねるごとに、強く、美しくなっていくんです」と山田さん
(右)柔らかく華やかな作風で、盆栽の魅力を伝える「彩花盆栽」



『清香園』

創業約170年の盆栽園。「彩花盆栽」の教室は、盆栽町本校のほか、通信講座も。
http://www.seikouen.cc/

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